ルジャンドルの読書記録

ルジャンドル(Twitter id:nattogohan_suki)の、読書メモを記します。

2020-01-01から1年間の記事一覧

読書記録:根拠に基づいて決める『〈効果的な利他主義〉宣言! 慈善活動への科学的アプローチ』

この本を読みました。 〈効果的な利他主義〉宣言! ――慈善活動への科学的アプローチ 作者:ウィリアム・マッカスキル 発売日: 2018/11/02 メディア: 単行本 この本は以下のブログ記事で紹介されており、実際に見ておきたいと思ったので読みました。 読書メモ:…

読書記録:「わかりやすい」って何?『学術書を読む』『わかりやすさの罪』

これらの本を読みました。 わかりやすさの罪 作者:武田 砂鉄 発売日: 2020/07/07 メディア: Kindle版 学術書を読む 作者:哲也, 鈴木 発売日: 2020/10/10 メディア: 単行本 この2冊はたまたま同時期に読んで、どちらも「わかりやすさ」に対する疑問が展開され…

読書記録:『現実的な左翼に進化する』

この本を読みました。 現実的な左翼に進化する 進化論の現在 (シリーズ「進化論の現在」) 作者:ピーター・シンガー 発売日: 2003/02/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) こちら↓の記事で紹介されていたので、読んでみました。 s-scrap.com 前回記事(『農…

読書記録:『農業は人類の原罪である』

この本を読みました。 農業は人類の原罪である (進化論の現在) 作者:コリン・タッジ 発売日: 2002/10/17 メディア: 単行本 大変おもしろいことを言っている本ですが、残念ながら絶版になっています。 著者の主張は次のような感じです。 ...人間は少なくとも…

読書記録:リスク・責任・決定の一致『ケインズの逆襲 ハイエクの慧眼』

この本を読みました。 ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼 巨人たちは経済政策の混迷を解く鍵をすでに知っていた (PHP新書) 作者:松尾 匡 発売日: 2014/11/14 メディア: 新書 以前、『問いかける法哲学』を読んだときに、ハイエクという哲学者が出てきて興味が…

読書記録:経験しないとわからない『食べることと出すこと』

この本を読みました。 食べることと出すこと (シリーズ ケアをひらく) 作者:頭木 弘樹 発売日: 2020/08/03 メディア: 単行本 潰瘍性大腸炎という、国に難病指定されている疾病をもつ著者による本です。難病にかかるとはどういうことなのかを、自分の実感を込…

読書記録:『数学受験術指南』

この本を読みました。 数学受験術指南 (中公文庫) 作者:森 毅 発売日: 2012/09/21 メディア: 文庫 数学の大学入試試験に立ち向かうにはどうするべきか、ということをまとめた本です。なにやらおもしろいことが書いてある、という評判を見かけたので、読んで…

読書記録:『10代から知っておきたい あなたを閉じこめる「ずるい言葉」』

この本を読みました。 10代から知っておきたい あなたを閉じこめる「ずるい言葉」 作者:森山至貴 発売日: 2020/08/18 メディア: 単行本(ソフトカバー) この本は、中高生くらいの子どもがかけられることの多い「ずるい言葉」のなにが問題であり、どう対処す…

読書記録:『70歳からの世界征服』

この本を読みました。 70歳からの世界征服 作者:中田 考,田中 真知,矢内 東紀 発売日: 2020/07/28 メディア: 単行本(ソフトカバー) 老人は基本的に何の役にも立たないし、基本的には迷惑なので財産の処理だけして早く死んでしまったほうがいいということが…

読書記録:《借り》とうまく付き合う『借りの哲学』

この本を読みました。 借りの哲学 (atプラス叢書06) 作者:ナタリー・サルトゥー=ラジュ 発売日: 2014/02/27 メディア: 単行本 この本は小川さやか『「その日暮らし」の人類学』(光文社新書)で引かれていたものです。贈与・交換・貸し・借り、という概念に…

読書記録:雰囲気づくりが大事です『みんなの「わがまま」入門』

この本を読みました。 みんなの「わがまま」入門 作者:富永京子 発売日: 2019/04/30 メディア: 単行本 本書の最後のほうに、こんなことが書いてありました。 「ふつう」のなかに隠れて見えない、ほんとうに多様な人たちがいる。その人たちと「同じ職業」とか…

読書記録:文章を書くことについて『伝わる文章の書き方教室』

この本を読みました。 伝わる文章の書き方教室 書き換えトレーニング10講 (ちくまプリマー新書) 作者:飯間 浩明 発売日: 2011/01/07 メディア: 新書 これは、以前の記事(13歳からの論理ノート)でも言及しましたが、僕が信頼する倫理学者長門さんの(大学生…

読書記録:通俗道徳のわな『生きづらい明治社会』

この本を読みました。 生きづらい明治社会――不安と競争の時代 (岩波ジュニア新書) 作者:松沢 裕作 発売日: 2018/09/21 メディア: 新書 先日読売新聞で、この本の著者の記事が載っていておもしろかったので買ってみました。[あすへの考]<生きづらさの正体…

読書記録:「なかったこと」にすればいい『ひれふせ、女たち:ミソジニーの論理』

この本を読みました。 ひれふせ、女たち:ミソジニーの論理 作者:ケイト・マン,Kate Manne 発売日: 2019/11/20 メディア: 単行本 「ミソジニー」という比較的新しい概念があります。日本語では「女性嫌悪」と訳されていて、読んで字のごとく、「女性が嫌いな…

読書記録:詭弁を勉強するとまっとうになる『論理病をなおす!――処方箋としての詭弁』

この本を読みました。 論理病をなおす! ――処方箋としての詭弁 (ちくま新書) 作者:香西秀信 発売日: 2014/09/05 メディア: Kindle版 前回の記事で取り上げた『13歳からの論理ノート』と一緒に買った本です。今回読んだ本のカバーそでには「論理ではなく、詭…

読書記録:『13歳からの論理ノート』

この本を読みました。 13歳からの論理ノート 作者:小野田 博一 発売日: 2006/09/21 メディア: 単行本(ソフトカバー) この本は、僕が信頼する倫理学者の先生が大学生向けに、とおすすめしていたので読んでみました(僕は大学生ではありませんが)。 大学生…

読書記録:ものの決め方『女であるだけで』

この本を読みました。 女であるだけで (新しいマヤの文学) 作者:モオ,ソル・ケー 発売日: 2020/02/27 メディア: 単行本 あらすじは以下のとおりです。 ある日、夫フロレンシオを誤って殺してしまったオノリーナ。なぜ、彼女は夫を殺す運命を辿ったのか? オ…

読書記録:『「連続殺人犯」の心理分析』

この本を読みました(今回の記事にはショッキングなことも書いてあります)。 「連続殺人犯」の心理分析 作者:モス,ジェイソン,コトラー,ジェフリー 発売日: 2002/03/01 メディア: 単行本 この本を買ったのは2017年のことでした。購入履歴を調べると、定価19…

読書記録:「転生もの」も楽じゃない『ゼロからトースターを作ってみた結果』

この本を読みました。 ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫) 作者:トーマス トウェイツ 発売日: 2015/09/27 メディア: 文庫 僕はよく、遠い昔にタイムスリップしたときに現在の生活をどれくらい再現できるだろうか、と考えます。たとえば、エアコ…

読書記録:それをしてどうなるんですか?と聞かれて答に窮するようなことはやめませんか?『レイシズム』

この本を読みました。 レイシズム (講談社学術文庫) 作者:ルース・ベネディクト 発売日: 2020/04/10 メディア: 文庫 …私たちが傲慢無知であったり、あるいは恐慌に煽られて平常心を失うとき、分かりやすくて耳に心地よい物語がそっと忍び入る。自暴自棄にな…

読書記録:最初で最後の倫理学の本『ふだんづかいの倫理学』

この本を読みました。 ふだんづかいの倫理学 (犀の教室Liberal Arts Lab) 作者:昌宏, 平尾 発売日: 2019/03/12 メディア: 単行本 DavitRiceさんのブログで書評されていた本で、タイトルが頭に入っていたところ本屋にいったらあったので買ってしまいました。…

読書記録:チョムスキーはどのような人物なのか『我々はどのような生き物なのか』

この本を読みました。 我々はどのような生き物なのか――ソフィア・レクチャーズ 作者:ノーム・チョムスキー 発売日: 2015/09/18 メディア: 単行本 この本は、書店で見かけて「え、我々はどのような生き物なのか知りたいんだけど」と思って買ったものの読まず…

読書記録:アマゾン奥地の子育て『ピダハン』

この本を読みました。 ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観 作者:ダニエル・L・エヴェレット 発売日: 2012/03/23 メディア: 単行本 これは、アマゾンの奥地にすむ「ピダハン族」について書かれた本です。本書の著者ダニエル・エヴェレットさんの興…

読書記録:明治時代の息づかい『簡易生活のすすめ』

この本を読みました。 簡易生活のすすめ 明治にストレスフリーな最高の生き方があった! (朝日新書) 作者:山下 泰平 発売日: 2020/02/13 メディア: 新書 この本は、明治時代の新聞や雑誌を紐解いてみえてきた「簡易生活」という生き方をまとめて紹介した本で…

読書記録:「意識の自動書記」実験ノート『詩群』

この本を読みました。 趾波豊作品集 詩群 (MyISBN - デザインエッグ社) 作者:趾波 豊 発売日: 2019/08/26 メディア: オンデマンド (ペーパーバック) これは僕の友人が作った詩をまとめたものです。漢字はすべて旧字体で書かれていることが大きな特徴です。収…

読書記録:何をもって「法」なのか『問いかける法哲学』

この本を読みました。 問いかける法哲学 作者: 出版社/メーカー: 法律文化社 発売日: 2016/09/20 メディア: 単行本 この本では、「臓器売買ってなんでダメなの?」とか、「女性専用車両は差別じゃないのか?」とか、「同性婚を認めるかどうか」とかいった、…

読書記録:人間関係をちゃんとやるための敬語『ちゃんと話すための敬語の本』

この本を読みました。 ちゃんと話すための敬語の本 (ちくまプリマー新書) 作者:橋本 治 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2005/01/01 メディア: 新書 ↓の記事で挙げられていたので買って読んでみました。 このアニメ絵の児童書がすごい 〈番外編〉中学受験…

読書記録:『乳と卵』

この本を読みました。 乳と卵 (文春文庫) 作者:川上 未映子 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2010/09/03 メディア: 文庫 この文庫には、表題作「乳と卵(ちちとらん)」と「あなたたちの恋愛は瀕死」の二篇が含まれています。表題作は芥川賞をとったやつ…

読書記録:「いま」で評価する『チョンキンマンションのボスは知っている』

この本を読みました。 チョンキンマンションのボスは知っている: アングラ経済の人類学 作者:小川 さやか 出版社/メーカー: 春秋社 発売日: 2019/07/24 メディア: 単行本 この本は香港でのフィールドワークの記録で、タンザニアの商人が香港でつくっているコ…

読書記録:ちゃんと話を聞く『聞く力』

この本を読みました。 聞く力―心をひらく35のヒント 作者:阿川 佐和子 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2012/01/20 メディア: 新書 先日、有名な人の対談の進行役を務めました。あまりうまく立ち回れなかったなぁ、という反省があったところ、家にこの本…