読書記録:『数学受験術指南』
この本を読みました。
数学の大学入試試験に立ち向かうにはどうするべきか、ということをまとめた本です。なにやらおもしろいことが書いてある、という評判を見かけたので、読んでみました。大学受験は僕にとって遠い昔の出来事ですが、おもしろく読めました。
いくつか引用をメモしておきます。
...なかには、消しゴムで消したあとを、すかして見たりして、調べている採点者まである。
(中略)
できることなら、採点者は受験生の頭をわってみたい。せめて、どういうつもりでこんなことしてるの、と質問したいことがよくある。(p.50,51. 2 入試採点の内幕)
「正解を公表しろ」という意見があるが、数学の答案には、きまった「正解」なんてない。予備校の「正解」はもちろん、出題者の「正解」だって、満点になるとはかぎらない。
(中略)
...入試は「客観厳正」などというヤカラは、採点の苦労をしたことのない人間だと思う。(p.55-56. 2 入試採点の内幕)
交換日記を利用してもいい。交換日記のなかで、数学の問題の出しっこなんて、ヤボッタくって、イメージをこわしかねないが、受験のことを考えれば、背に腹はかえられぬ。イメージをこわさぬ範囲で、利用すればよい。
それに、そうしたなかで、逆に数学のほうが、交換日記の持つフンワカしたイメージに同化されて、フンワカしてくればしめたものだ。キミは、数学が好きになれる。(p.95. 4 受験数学以前)
どうしてもよくわからないところは、わからないからといって、あきらめて見捨てたりしないで、頭のなかで飼っておくと、そのうち一年もすると、なんとなく馴れてきてくれて、それがわかってくる、といった経験も、たいていの数学者は持っているのではなかろうか。ただ、そのわからない概念が、住み心地よく飼われてくれるように、頭の牧場ができていることが大事である。(p. 97. 4 受験数学以前)
おわりです。