ルジャンドルの読書記録

ルジャンドル(Twitter id:nattogohan_suki)の、読書メモを記します。

読書記録:『数学受験術指南』

 この本を読みました。

数学受験術指南 (中公文庫)

数学受験術指南 (中公文庫)

  • 作者:森 毅
  • 発売日: 2012/09/21
  • メディア: 文庫
 

  数学の大学入試試験に立ち向かうにはどうするべきか、ということをまとめた本です。なにやらおもしろいことが書いてある、という評判を見かけたので、読んでみました。大学受験は僕にとって遠い昔の出来事ですが、おもしろく読めました。

 いくつか引用をメモしておきます。

...なかには、消しゴムで消したあとを、すかして見たりして、調べている採点者まである。

(中略)

 できることなら、採点者は受験生の頭をわってみたい。せめて、どういうつもりでこんなことしてるの、と質問したいことがよくある。(p.50,51. 2 入試採点の内幕)

「正解を公表しろ」という意見があるが、数学の答案には、きまった「正解」なんてない。予備校の「正解」はもちろん、出題者の「正解」だって、満点になるとはかぎらない。

(中略)

...入試は「客観厳正」などというヤカラは、採点の苦労をしたことのない人間だと思う。(p.55-56. 2 入試採点の内幕)

 交換日記を利用してもいい。交換日記のなかで、数学の問題の出しっこなんて、ヤボッタくって、イメージをこわしかねないが、受験のことを考えれば、背に腹はかえられぬ。イメージをこわさぬ範囲で、利用すればよい。

 それに、そうしたなかで、逆に数学のほうが、交換日記の持つフンワカしたイメージに同化されて、フンワカしてくればしめたものだ。キミは、数学が好きになれる。(p.95. 4 受験数学以前)

 どうしてもよくわからないところは、わからないからといって、あきらめて見捨てたりしないで、頭のなかで飼っておくと、そのうち一年もすると、なんとなく馴れてきてくれて、それがわかってくる、といった経験も、たいていの数学者は持っているのではなかろうか。ただ、そのわからない概念が、住み心地よく飼われてくれるように、頭の牧場ができていることが大事である。(p. 97. 4 受験数学以前) 

 

 おわりです。