この本を読みました。
先日、有名な人の対談の進行役を務めました。あまりうまく立ち回れなかったなぁ、という反省があったところ、家にこの本が置いてあったので読ませてもらいました。この本は、いろんな対談やインタビューの聞き役をやってきた阿川佐和子さんが、その秘訣をまとめました!というものです。
対談進行を経験したおかげだと思うのですが、やりがちなミスとして紹介されていたことが実感を伴って理解できました。実際の現場でやっちゃっていましたし。正直対談前に読んでおきたかったな、と思いましたが、私のような人間は失敗しないと学ばないので、この順番で良かったんだろうとも思っています。
せっかく読んだので、備忘のために記事を起こします。
ちゃんと話を聞きましょう
阿川さんは週刊文春でインタビュー記事のコーナーをもっていて、毎週怒涛のようにインタビューをこなしていました(今もあるかはわかりません)。そんな阿川さんでも次のように思うそうです。
こんなに長く続けていてもインタビューの前は怖くてしかたがありません。(p.47)
自分もそうです。インタビューじゃなくても、仕事で人に会いに行くとか友達に会いに行くのでさえ結構近い感情が立ち上がってしまうこともあります。阿川さんのインタビュー初心者時代のことが書いてあるのですが、不安を克服するためにやっていたことがあるそうです(ちなみに、阿川さんがインタビュー初心者だったのは30歳くらいのときだそうで、今自分も30歳なので下手でも仕方ないかという気持ちになれました)。
それらの不安を取り除くために、事前にインタビューのシミュレーションをして、質問事項をレポート用紙に書きならべて本番に臨んだものです。(p.48)
でも、これをやるとどうなるかというと、用意してきた質問をこなすことに集中してしまって、相手の話を聞き逃してしまう。答えてもらう音声は録音してるからいいけれど、答えの中におもしろいこととかもっと掘り下げるべきことがあっても全然反応できなくなってしまうというのです。自分もこれに近いことをやってしまっていて、振り返ると結構悔しいです。進行役なのにおまえがメモとってどうする、みたいな感じにもなっていました。
ほかにも、「段取りを完全に決めない」「お決まりの話にならないように」「先入観にとらわれない」「会話は生ものと心得る」といったフレーズが目次として立ててありました。これはほとんど同じことを言っていて、「相手の話をちゃんと聞いて、対話をしましょう」ということにまとめられます。
もちろんインタビュー記事としてまとめる以上、ある程度の方向づけは進行役が示す必要がありますが、もういろんなところで話されていることやどこかに書いてあることを聞き出しても仕方がないので、その日会ってわざわざ話してもらっていることで得られるおもしろい情報に触れられるように心がけましょう、ということです。
具体的な話で大きく印象に残ったのは、阿川さんが室伏広治さんにインタビューしたとき、「ハンマーを追求することで飛距離以外にも成長することがある」と答えたところを、次の質問に囚われてスルーしてしまった…!どこが成長したのか聞けたらもっと面白い話になったかもしれないのに!という振り返りです。
これは、インタビュー記事に限らず、友達と会う時も重要ですね。同級生に会っても、「結婚する」、「家を建てる」、「子どもできる」、「給料少ない」、「仕事つまらない」、「女遊びした」みたいな話に収束してつまらないという問題はそこここで耳にしますが、本書の内容はこういうつまんない話を打ち破るために応用できると思います。でもおもしろい話をしようとして掘っていくのはエネルギーがいることだし、仕事でも、一緒にいるのが楽しい人でもなければあんまりやりたくないですよね。
以上です。